併用に注意すべき漢方薬

複数の漢方薬

こんにちは!今回は、一緒に服用しない方がいい漢方薬について解説します。

漢方を処方する病院や漢方専門薬局に行くと、二種類以上の漢方薬を処方される事がよくあります。

体に起こる不調は、生活習慣や気候の変化、ストレスなど、様々な要因が複雑に絡み合って起こることが多いもの。一つの漢方薬よりも、複数の漢方薬を組み合わせた方が治りが早いことが多いのです。

でも実は、いくつかの漢方薬は、相性が悪かったり、副作用が出やすいなどの理由で、一緒に飲まない方がいいものがあるのです。病院や薬局で専門家が処方したものなら安心ですが、自分で調べてドラッグストアで買う時にはぜひ注意を!

配合生薬がかぶっている漢方薬

漢方薬は複数の生薬が配合されていますが、中身が似たものが結構あります。

例えば、カゼ薬として有名な【葛根湯】は、同じく鼻水の出るカゼや鼻炎に効果的と言われる【小青竜湯】は多くの生薬が共通しています。このように、似たような症状に効く漢方薬は、その中身が重複している可能性があり、重複が多い場合は併用は避ける必要があります。

また、漢方薬の中には、すでに存在している処方にいくつかの生薬を足して(時には引いて)作られたものも多くあります。

例えば、【葛根湯】は、【桂枝湯】に葛根と麻黄を足したものです。このように、ある処方と、それをベースとして作られた処方も、配合されている生薬が重複しているので、併用は避けた方が良いと言われています。

併用を避けた方が良い組み合わせ

いくつかの主要な漢方薬は、色々な漢方処方のベースとなっています。つまりそれらはお互い併用するのを避けた方が良いということです。

以下に主なものを紹介しますので、参考にしてみてください。

【桂枝湯】がベースとなっているもの

桂枝湯          桂皮・芍薬・生姜・大棗・甘草

桂枝加芍薬湯       桂枝湯+芍薬

小建中湯         桂枝湯+芍薬・膠飴

黄耆建中湯        桂枝湯+芍薬・膠飴・黄耆

桂枝加芍薬大黄湯     桂枝湯+芍薬・大黄

葛根湯          桂枝湯+葛根・麻黄

葛根湯加川芎辛夷     桂枝湯+葛根・麻黄・川芎・辛夷

桂枝加朮附湯       桂枝湯+蒼朮・附子

桂枝加竜骨牡蛎湯     桂枝湯+竜骨・牡蛎

当帰四逆加呉茱萸生姜湯  桂枝湯+当帰・木通・呉茱萸・細辛

【五苓散】がベースとなっているもの

五苓散    猪苓・沢瀉・茯苓・蒼朮・桂皮

柴苓湯    五苓散+小柴胡湯(柴胡・黄芩・半夏・人参・生姜・大棗・甘草)

茵蔯五苓散  五苓散+茵蔯蒿

【小柴胡湯】がベースとなっているもの

小柴胡湯  柴胡・黄芩・半夏・人参・生姜・大棗・甘草

柴朴湯   小柴胡湯+茯苓・厚朴・蘇葉

柴苓湯   小柴胡湯+五苓散

【大黄甘草湯】がベースとなっているもの

大黄甘草湯  大黄・甘草

調胃承気湯  大黄甘草湯+芒硝

桃核承気湯  大黄甘草湯+芒硝・桃仁・桂皮

【六味地黄丸】がベースとなっているもの

六味地黄丸(六味丸)  地黄・山薬・山茱萸・茯苓・沢瀉・牡丹皮

八味地黄丸      六味地黄丸+桂皮・附子

杞菊地黄丸      六味地黄丸+菊花・枸杞

知柏地黄丸      六味地黄丸+知母・黄柏

牛車腎気丸      六味地黄丸+桂皮・附子・牛膝・車前子

ちなみに、開発されたのは八味地黄丸の方が先です。つまり八味地黄丸から桂皮と附子が取り除かれたものが六味地黄丸なのです。

六味丸
これらには全て【六味地黄丸】が入っている。

【四物湯】がベースとなっているもの

四物湯    当帰・芍薬・地黄・ 川芎

当帰飲子   四物湯+防風・黄耆・荊芥・甘草・蒺藜子・何首烏

七物降下湯  四物湯+黄耆・黄柏・釣藤鈎

疎経活血湯  四物湯+蒼朮・桃仁・牛膝・陳皮・防已・防風・竜胆・甘草・白芷・生姜・威霊仙・羌活

温清飲    四物湯+黄連解毒湯(黄連・黄芩・黄柏・山梔子)

荊芥連翹湯  温清飲+柴胡・甘草・桔梗・薄荷・連翹・荊芥・ 白芷・防風・枳実

十全大補湯  四物湯+四君子湯+黄耆・桂皮

【四君子湯】がベースとなっているもの

四君子湯   茯苓・蒼朮・人参・甘草・大棗・生姜

六君子湯   四君子湯+陳皮・半夏

帰脾湯    四君子湯+黄耆・当帰・遠志・木香・酸棗仁・竜眼肉

加味帰脾湯  帰脾湯+柴胡・山梔子

同じ四君子湯ベースの処方でも、効能は全く違う。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

一つの漢方薬を応用して、複数の漢方薬が生み出されていたのですね。長い歴史を持つ漢方薬ならではの発展のしかたです。

もしご自分で複数の漢方薬を選んでみたいと思ったら、ぜひ参考にしてみてください。

なお、今回ご紹介したもの以外にも避けるべき組み合わせはありますので、薬剤師・登録販売者の方にご相談することをおすすめします!

最後までお読み頂きありがとうございました。

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